ソミンに追い出されたあと、私はやはりソミンのことが気になった。

そっと彼女の部屋を覗いてみると静かな寝息を立てていた。

怖かった。
ソミンがこのままいなくなるんじゃないかと怖かった。
ウンタクのように突然私の目の前から消えてしまうんじゃないかと怖かった。

眠るソミンの額にそっと触れた。
まだ熱い。
「私は君が心配なだけなんだ……。また突然いなくなるんじゃないかと怖いんだ……。」

それに来週は大学修学能力試験を控えている。
「今回は特別だぞ……。」
私は力を使いソミンを快復させた。

「これで君は起きた時はすっかり元気になっているぞ。」
そう呟きソミンの髪に口づけを落とした。
しばらく眠るソミンを見つめた。

私が初めて愛したウンタクーー。
ソミンは彼女の生まれ変わりだ。
ウンタクと同じ容姿で再び私の前に現れたソミン。
だがソミンは極普通の人間だ。
幽霊が見えることを除けば、だが。
一方私は不滅の命を生きる身だ。
私は歳を取らない一方でソミンは歳を重ねて行く。
どんなに愛してもそれは変わらない。
ソミンはいつか年老いてまた私の前から消えて行く。
私を一人残してソミンはいつか……。

このまま眠るソミンを見つめていればどんどんと考えても仕方のないことを考えてしまいそうでそっとソミンの部屋を出た。


ちょうど死神が仕事を終え帰って来た。
階段を降りる私を見てソミンの様子を聞いてきた。
「私の力を使えば風邪などすぐに治る。」
「じゃあ、もう治ったんですか?あぁ。同僚がりんごをくれました。」
そう言って持っていた袋を見せた。
袋の中にはたくさんのりんごが入っているようだった。
「お前の同僚は何だってそんなりんごを?」
「担当した死者がりんご農家だったそうです。路銀の代わりにりんごを供えていたとかで。」
「路銀の代わりにりんごか……。私はちょっと出掛けて来る。」
「何処へ?」
「何故いちいちお前に行き先を告げなくてはいけないんだ。ソミンが起きたら出掛けたと伝えてくれ。」
死神にそう言って私は家を出た。
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